著作物が多くの人に広まるということは、著作者の知名度が高めることと同義と言えます。
著作者の知名度が高いと言うことは、著作物の売れ行きを大きく左右することに繋がっていくのです。
著作者の名を伝え、知名度を守るための権利である著作者人格権について紹介していきます。
小説や漫画、映画やゲームなどは「誰が作ったか」を重視される面を持っています。
作者が違えば表現や演出、ハッピーエンド好みかそうでないかなど題材は同じでも内容が大きく違ってくるからです。
このように、読者・視聴者にとって著作者の名前は大きな意味を持つものなのです。
著作者人格権は、著作物の製作者である著作者の「人格的利益」を保護するための著作権のことです。
人格的利益とは名声や信頼など無形の人間的な価値のことで、著作権のみならず法律で保護される様々な権利にも関係しています。
つまり、「著作物を製作・発表することで発生する著作者の名声を保護する」ことが著作者人格権の目的と言えます。
公表権とは「未発表の著作物を公衆に発表する」ための権利です。
無数に作られている著作物の中には、「若気の至りで作ったので公表するには恥ずかしい物」や「完成はしたものの手直ししたい部分があるので寝かせておきたいもの」などが含まれています。
こうした発表すると人格的利益に影響する作品を秘蔵するのが、公表権の目的の一つと言えます。
逆に言えば、「全ての著作物は著作者の同意なしに公表することはできない」ということを示す権利なのです。
氏名表示権とは、「著作物を公表する際に、著作者の実名または変名を著作者名として表示するか著作者名を非表示にするかを選択できる権利」のことです。
つまり、著作者は本名・ペンネーム・匿名のどれか一つを著作者名に出来るということになります。
ハッタリを効かせるために大仰しいペンネームを用いたり、本来のペンネームでは発表できない作品を別のペンネームで発表したりする時などに効果を発揮します。
名誉声望保持権とは「著作物が著作者の意図しない形で利用されることによって名誉や声望を失うことを防ぐ為の権利」です。
分かりやすく言えば、自分の著作物がいかがわしい業種の広告などに使われてマイナスの評価を受けることを防ぐ為に使われる権利です。
基本的には同一性保持権と似た働きを持っていますが、「改変なしで利用されても行使できる」ことが大きな違いです。
著作者人格権は、他の人に譲渡・売却することが出来ない「一身専属性」を持つ権利です。
つまり、出版社やレコード会社などとの契約で作品の販売に必要な権利を一括で売り渡したとしても、会社側の一存で作者名の改ざんや契約外での利用を行うことは出来ないのです。
しかし、人気のソーシャルネットワークサイトで利用規約を「利用者が著作者人格権を行使しない」ように改変しようとした事などもあり、一身専属性を脅かす契約を求めてくるケースも増加しています。